契約書をFAXで送る方法|印鑑と手書き署名の扱い、送付状、控えまで (中小企業・個人事業主向け)

取引先から「契約書はFAXで送ってください」と言われた。手元にFAX機はないし、コンビニまで走る時間もない。締め切りは今日、あるいは明日。日本の中小企業や個人事業主にとって、今もよくある場面です。

先に結論をお伝えします。契約書のFAX送信は、日本の商取引で法的に有効です。契約は民法上、両当事者の意思の合致で成立します。相手が「FAXで送ってください」と指定していれば、そのやり取りに双方が合意しているということです。押印や署名がある契約書をFAXで送っても、そのまま契約書として通用します。

ここでは、印鑑と手書き署名の扱い、送付状、送信手段、控えの残し方までを、実務の順で整理します。FAX機がなくても、スマホやパソコンからそのまま送れるオンラインFAXも、選択肢のひとつとして紹介します。

まず確認する3つのこと

契約書を送る前に、これだけは先方に確認しておくと後の手戻りが減ります。

  1. FAX送信で契約成立とみなしてよいか。相手が「FAXで送って」と指定していれば通常はイエスですが、覚書や注文請書レベルではなく、金額の大きい業務委託契約や賃貸借契約の場合、原本の郵送も併せて求められることがあります。
  2. 原本の扱い。FAXで先に送ったあと、原本を郵送するのか、原本は自社保管のままでよいのか。実印相当の重要契約では、ほぼ確実に原本併送を求められます。
  3. 印紙の扱い。基本的にFAX送信そのものは印紙税の課税対象外です。国税庁は、注文請書などをFAX送信するだけでは印紙税の課税文書に該当しないという見解を示しています。ただし、原本を後から郵送する場合は、その原本に印紙が必要になります。

このあたりを口頭かメールで一往復しておくと、送ってから「原本も送ってください」と追いかけられるのを防げます。

印鑑の扱い:FAXで潰れないための工夫

FAX送信は白黒2値化されます。朱肉の赤い印影も、受信側では濃い黒として再現されます。ここでよくある悩みが、「印鑑がつぶれて読めなくなるのでは」というものです。

実務上の工夫は3つあります。

  • 印鑑は少し離してしっかり押す。文字と印影が重なると、細い書体が黒つぶれしやすくなります。
  • 朱肉はやや薄めで、ムラなく。濃すぎる朱肉は輪郭が塊になって届きます。
  • 契約書本文の書体は10.5pt以上、色は黒。細字や淡いグレー・青色は、FAXでは薄れて読めなくなることがあります。

実印相当の重要契約 (代表印を押す業務委託契約や賃貸借契約など) を扱うときは、FAX上では認印にとどめて、実印を押した原本を別途郵送するのが、日本のB2Bで最も無難な運用です。実印そのものの印影を、FAXの解像度と拡散経路に晒さないための工夫です。「先にFAXで内容確認、原本は後日郵送」の順番で送ると、締め切りに間に合わせつつ、後から差し戻される確率も下がります。

FAX上の署名・押印そのものが法的に有効かどうかについては、FAXは法的に有効?署名入り書類をFAX送信する方法 にもう少し丁寧にまとめてあります。

手書き署名は太めのペンで大きく

契約書によっては、押印ではなく手書き署名を求められることもあります。海外企業との契約、または個人事業主が業務委託を受けるときは特に多い場面です。

FAXで送るときの実務ポイントは、太めの黒インクで、氏名を通常より少し大きめに書くことです。細字のジェルペンや薄い青インクは、FAXでは薄く出ることがあります。0.5〜0.7mmの黒ボールペン、もしくは細字マーカーが一番安定します。

送付状 (かがみ) は必ず1枚目に

日本の商習慣では、FAXの1枚目には必ず送付状を添えます。契約書のように相手の担当者が特定されている書類では、送付状の役割はさらに大きくなります。共有FAX機に届いた契約書が別部署に紛れないように、送付状が最初の目印になります。

送付状に入れる基本項目は次のとおりです。

  • 宛先の会社名・部署名・担当者名 (「〇〇株式会社 〇〇部 〇〇様」)
  • 送信日
  • 差出人の会社名・氏名・電話・メール
  • 送信枚数 (送付状を含めた総枚数)
  • 用件 (「〇〇契約書 (お送りいたします)」の1行)
  • 補足連絡 (原本を郵送する予定など)

書式の詳細と例文は FAX送付状の書き方ガイド にまとめています。急ぎのときは印刷してすぐ書き込める A4送付状テンプレート を使うと早いです。

契約書本体は、契約書 + 送付状 + (必要なら) 別紙、の順で通しページ番号を振っておくと、受信側で差し込み順を間違えられる事故が減ります。

FAX機がないときの送り方

自宅やオフィスにFAX機がない場合、送る方法は現実的に2つです。

1. コンビニのマルチコピー機

セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートのマルチコピー機からFAXが送れます。国内向け1枚50円 (2026年6月時点)。24時間営業の店舗が多いので、深夜や休日でも対応できます。

契約書を送る場合は、あらかじめ自宅で契約書と送付状をプリントし、押印・署名まで済ませた紙を持ってコンビニへ行きます。マルチコピー機の前で1枚ずつ原稿を差し替える機種もあるため、10枚を超える契約書ではやや手間がかかります。国内専用で、海外のFAX番号には送れません。手順の詳細は コンビニFAXの送り方 にまとめています。

2. オンラインFAX (PayPerFax)

もうひとつは、自宅のパソコンやスマートフォンから直接送る方法です。契約書をPDFにして、押印済みの紙をスマホで撮影して(またはスキャンアプリでPDF化して)、そのままアップロードして送信できます。コンビニに行く必要はなく、深夜や悪天候でも家から送信できます。

PayPerFaxは、契約不要・月額料金不要の従量課金制オンラインFAXです。海外のFAX番号にも送れます。料金は、最初の3ページが$2、追加ページは1ページあたり$0.75です。契約書1件だけの単発利用でも使えます。

契約書のPDFをアップロードし、相手のFAX番号を入力するだけ。アカウント登録も、月額契約も、必要ありません。

今すぐPayPerFaxで契約書を送る

送信確認と控えの残し方

契約書を送ったあとは、届いたことを確認して、控えを残します。

  • 送信レポート: PayPerFaxはブラウザ上に送信結果を表示し、送信レポートPDFをダウンロードできます。コンビニのマルチコピー機は、利用明細を紙で発行します。どちらも「送信元の機器から相手のFAX番号への通信が成立したこと」の記録です。相手先のFAX機で用紙切れやインク切れが起きていた場合は、こちら側の記録では「成功」と出ることがあります。詳しくは FAX送信確認 を参考にしてください。
  • 相手先への確認: 契約書のように重要な書類は、送ったあとに一言、電話かメールで「先ほどFAXでお送りしました。届いておりますでしょうか」と確認しておくと安心です。
  • 控えの保管: 押印済みの契約書 (紙の原本) は7年間の保管が基本です。契約書に基づく取引の証憑書類として、法人税法や商法上の保管義務があります。原本を郵送する場合は、こちら側でコピーを1部残しておきます。

なお、電子帳簿保存法の2022年改正で、電子データのまま受け取ったFAXは電子データのまま保存する義務が生じました。これは受信側の話です。ただし先方が電子データで受け取る運用に切り替えているなら、こちら側から電子契約サービスへの移行を話しやすくなる材料でもあります。

今回はFAXで送るけれど、次からは?

契約書のFAX送信は法的にも実務的にも通用します。ただ、繰り返しやり取りする取引先であれば、次回以降は電子契約サービスに切り替えられないか、一度打診してみる価値はあります。

打診の言い方は、こちらから否定的にならないのがコツです。たとえば、

「次回の契約書からは、電子契約でお送りしてもよろしいでしょうか。押印・郵送の手間が双方で減るのと、電子帳簿保存法の対応も揃えたく考えております」

これで先方が対応可能であれば、次からはFAXも郵送も要らなくなります。対応が難しいという返事であれば、FAX送信を続ければよいだけです。無理に急がせて、取引先の関係を悪くする話ではありません。

よくある質問

契約書をFAXで送ると印紙は必要ですか?

FAXで送信した契約書 (電子的に交付されたもの) は、原則として印紙税の課税対象外です。国税庁は、注文請書などをFAX送信するだけでは印紙税の課税文書に該当しない、との見解を示しています。ただし、後日原本を郵送する場合は、その原本に必要な印紙を貼る必要があります。

実印を押した契約書をFAXで送っても大丈夫?

法的にはFAX送信そのものは有効ですが、実印相当の重要契約では、実印の印影をFAXの解像度に晒すこと自体を避ける運用が一般的です。FAX上では認印か会社印にとどめ、実印を押した原本を書留などで郵送する、という併送のかたちが安全です。

FAXで送った契約書を、後から修正できますか?

FAX送信後の修正は、送信済みの契約書を無効化してから、新しい版を再送する形が基本です。二重線と訂正印で直す方法は、原本 (紙) では通用しますが、FAXでやり取りしている段階では、修正版全体を送り直したほうが誤解が起きません。修正のたびに送付状で「〇月〇日送付分を破棄のうえ、本書に差し替えてください」と1行入れておくと確実です。

電子契約サービスを使えば、印鑑は要りませんか?

電子契約サービス (クラウドサイン、GMOサイン、マネーフォワード クラウド契約 など) では、電子署名法にもとづく電子署名で押印の代わりを果たせます。実印相当のケースも、事業者署名型 (立会人型) や当事者署名型で対応できるサービスが増えています。ただし、先方が電子契約サービスを受け入れているかは、事前確認が必要です。

PDFで直接送ったほうがよくないですか?

社内で確認するだけならPDFメール添付が最速です。ただし、取引先から「FAXで送ってください」と指定されている場合は、その指定に従うのが商習慣上まっとうです。PDFメールでは印影の切り抜き悪用リスクがゼロではないため、FAXを指定する会社もまだ残っています。相手の指定に合わせて送るのが、いちばん揉めない選択肢です。

まとめ

契約書をFAXで送る場面は、日本の中小企業間では今も現実的に発生します。まっとうな判断で対応できるように、以下だけ押さえておけば十分です。

項目 目安
法的有効性 両当事者の合意があれば有効 (民法・契約自由の原則)
印紙 FAX送信のみなら不要。原本郵送時は原本側に必要
印鑑 FAXでは認印・会社印。実印は原本郵送で
手書き署名 太めの黒ペンで大きく
送付状 1枚目に必ず添える (宛先・枚数・用件)
FAX機がないとき コンビニ (1〜数枚) / オンラインFAX (枚数・海外・深夜対応)
控え 送信レポート + 相手先の口頭確認 + 原本7年保管

FAX機を用意する必要はありません。PayPerFaxなら、契約書のPDFをアップロードするだけで、パソコンからでもスマートフォンからでも、契約書を先方のFAX番号へ送信できます。

今すぐPayPerFaxで契約書を送る

その他のFAXに関するよくある質問