銀行手続きでFAXが必要になる場面は限定的ですが、今も残っています。海外送金の訂正・取消をお願いされた、法人口座の各種届出で「先にFAXで送っておいてください」と言われた、相続センターの担当者から個別に「この書類だけFAXで」と指示された、警察・裁判所からの照会に銀行のコンプライアンス窓口としてFAXで回答する、といったケースです。
先にいちばん大事なところをお伝えします。銀行宛のFAXは、送る前に必ず銀行のコールセンター (相続センター・法人サポート・外為センター) に電話をかけ、その通話の中でFAX番号と担当者名を教えてもらってから送ってください。相続手続き情報サイトや古い企業ページに載っているFAX番号は、番号変更・組織改編で使えなくなっていることがあり、口座番号や個人情報を誤送信すると被害の回復が困難です。
ここでは、みずほ・三菱UFJ・三井住友 (SMBC)・楽天・ゆうちょの5行について、FAXが今も使われている場面とそうでない場面、宛先の確認方法、送付状の書き方、そしてFAX機がないときの現実的な送信手段までを整理します。
2026年時点で銀行FAXが残っているのはどの場面か
大手行のリテール手続き (預金の名義変更、住所変更、キャッシュカード再発行など) は、この10年でほぼ完全にコールセンター経由の郵送・来店・オンラインバンキングに置き換わりました。FAXが今も使われているのは、主に次の場面です。
- 海外送金の訂正・取消: とくに法人向けのインターネットバンキング (みずほe-ビジネスサイト等) から出した外為取引の修正
- 法人口座の各種届出・照会: 事業所情報の変更、口座解約申請、追加資料の追送
- 相続手続きの補足資料: 相続センターに正規書類は郵送する前提で、事前照会や追加確認だけFAXを認める運用
- 警察・裁判所からの照会への回答: 銀行側から捜査機関・裁判所へ、コンプライアンス部門経由で書面回答
- 口座差押命令に対する陳述書等の周辺書類: 正本は郵送が原則。周辺のやり取りにFAXが混じる場面あり
一方、次の手続きは原則としてFAXでは受け付けてもらえません。
- 相続の本手続き (相続届・遺産分割協議書等の原本提出)
- 口座名義変更・住所変更 (原則として来店またはオンラインバンキング)
- 印鑑変更、キャッシュカード・通帳の再発行
- 口座の新規開設・法人口座開設
「FAXで送っておいてください」と言われたときが例外運用の入口です。指示を受けた通話の中で、必ず直通FAX番号と担当者名を口頭で受け取ってください。
各行のFAX手続きの入口 (コールセンター起点)
各銀行とも、FAX番号を一般ページには公表していません。相続・法人サポート・外為センターなど、目的別の窓口に電話をかけ、その通話の中でFAX番号を案内してもらう運用が標準です。
みずほ銀行
- 相続 (個人): みずほ銀行 相続手続きの案内 から、まず取引店に死亡連絡。所定の「相続関係届出書」は郵送または窓口で受け取り、記入後は窓口に持参します
- 海外送金の訂正・取消 (法人): みずほe-ビジネスサイトから出した外為取引の変更・取消は、外為センターに電話 → 依頼書をFAXで送付 → 原本を取引店へ、という3段階が標準です
- 法人各種届出: 取引店またはコーポレートサポート経由。担当者からの個別指示に応じてFAXを併用します
三菱UFJ銀行
- 相続 (個人): 三菱UFJ銀行 相続オフィス 0120-39-1034 に電話し、相続届が郵送で届きます。原則としてFAXでは受け付けていません
- 法人口座の届出変更: 取引店窓口が原則。担当者から個別にFAXを指示された場合のみFAX併用
- 警察・裁判所照会への回答: 銀行側のコンプライアンス窓口から書面またはFAXで回答するのが実務ですが、これは銀行側の対応であり、お客さまが送るFAXではありません
三井住友銀行 (SMBC)
- 相続 (個人): 取引店またはSMBC相続オフィスに電話。書類は郵送で届き、窓口または郵送で提出します
- 法人口座 各種お手続き: SMBC 法人のお客さま 各種お手続き から、担当窓口が案内されます。手続きの多くは書面郵送または来店が原則で、FAXは担当者からの個別指示に基づく併用にとどまります
- 口座取引目的等届出書: 「お取引目的等届出書」の回答は郵送または SMBCダイレクトからの提出が原則です
楽天銀行
楽天銀行は原則としてFAXを使わないネット銀行です。相続・照会・特殊手続きも次の経路になります。
- 相続 (個人): 楽天銀行カスタマーセンター (0120-776-9110) に電話 → 相続手続書類が郵送 → 記入・押印して郵送で返送。窓口・FAX受付なし
- 警察・裁判所からの照会: 銀行側のコンプライアンス部門で受け付け、書面またはFAXで回答。お客さまがFAXを送る場面は原則ありません
- 法人口座の届出変更: オンラインでの手続きが基本。担当者からの個別指示があった場合のみFAXが例外的に使われます
ゆうちょ銀行
- 相続 (個人): ゆうちょ銀行 相続手続き の案内に沿って、まず相続確認表を貯金窓口に提出 (窓口または郵送)。その後、貯金事務センターから必要書類が郵送され、記入・押印して貯金窓口へ直接提出します。FAXでの提出は認められていません
- 法人口座 (振込指定書等): 取引郵便局または法人担当窓口で受付。FAXは担当者指示があった場合の例外
海外送金の訂正・取消はFAXが残る典型場面
法人・個人事業主で海外送金 (外国送金) を出したあとに「受取人名の綴りが違った」「口座番号を1桁誤入力した」といった場面では、銀行の外為センターへの電話が最初の一歩です。多くの銀行で、電話で状況説明 → 銀行から所定の依頼書 (訂正・取消依頼書) の書式が案内 → 記入・押印してFAXで送付 → 原本を取引店に郵送または持参、という流れになります。
このとき注意したいのは、依頼書に送金参照番号 (Reference No.) と送金日を必ず記載することです。海外送金は組戻し (recall) 手続きが着金前でないと成立しにくく、当日中に外為センターへ第一報を入れられるかどうかで結果が分かれます。FAXで依頼書を送るときも、送信直後に「先ほどFAXで訂正依頼書をお送りしました」と電話で追いかけるのが実務上の定番です。
海外へのFAX送信そのものについては 海外へFAXを送る方法 を参考にしてください。
相続・名義変更にFAXを使うのは例外運用
みずほ・三菱UFJ・三井住友・楽天・ゆうちょのいずれも、相続の本手続きはFAXを想定していません。相続センターまたは相続オフィスに電話 → 書類一式が郵送 → 記入・押印済みの原本を窓口または郵送で提出、という流れが標準です。
一方、次のような周辺場面ではFAXが担当者から指示されることがあります。
- 事前照会 (「この記入方法で問題ないか」の確認)
- 追加書類の追送 (すでに本セットは郵送済みで、書き漏れの1枚だけ後追い)
- 海外在住の相続人からの署名サンプル送付 (原本は別途郵送)
いずれも、担当者からの個別指示がある場合に限られます。担当者の指示なくご自身の判断で相続書類をFAXで送るのはやめてください。原本主義の運用ですので、FAX送信だけでは手続きは進みません。
銀行FAXで気をつける個人情報の書き方
銀行宛のFAXでは、次の情報の扱いに神経を使います。
- 口座番号の全桁は原則書かない: 担当者が照合できる情報 (下4桁 + 名義人氏名 + 支店名) に留めるのが実務上の定番です。担当者から「フルの口座番号を書いてください」と指示された場合のみ全桁を書きます
- キャッシュカード番号・PIN・暗証番号は絶対にFAXしない: どの銀行も、FAX・メール・電話でカード番号や暗証番号を聞き出すことはありません。書類の記入欄にあっても、FAX送信時はマスクします
- マイナンバー (個人番号) の扱い: 一部の相続・税務関連書類にマイナンバー記載欄があります。FAXで送る場合は、担当者に「FAXで送ってもよいか」を口頭で確認したうえで送信し、控え原稿はマスクしてから保管します
- 宛先番号は電話で必ず確認する: 送信直前に、通話中の担当者に「今からFAXでお送りします。FAX番号は 03-XXXX-XXXX で間違いありませんか」と口頭で復唱し、双方で番号を確定します
銀行宛FAXの送付状 (送信票) に書くこと
銀行宛のFAXでは、送付状の書き方で処理速度が変わります。次の項目を1枚目に必ず入れてください。
- 送信日
- 宛先: 「〇〇銀行 〇〇センター 〇〇様」など、行名+部署名+担当者名まで
- 送信元: 送信者氏名 (法人の場合は会社名・部署・氏名)、連絡先電話番号 (折り返し可能な番号)
- 件名: 「〇〇〇 (口座名義人) 相続手続き 追加資料」「外国送金 訂正依頼 (Ref.No. XXXX)」など、届いた側がひと目で紐付けできる情報
- 総枚数: 送付状を含めた総枚数 (例:「送付状を含め全4枚」)
- 備考: 原本の郵送予定 (「原本は本日郵送予定」など)
書式に迷ったら FAX送付状の書き方ガイド と、印刷してすぐ書き込める A4送付状テンプレート を用意しています。銀行宛でもそのまま使えます。
送る前の最終チェックリスト
銀行宛にFAXを送る前に、次を確認してください。
- FAX番号: たった今の通話で担当者から口頭で受け取った番号か。ウェブ検索で拾った番号ではないか
- 宛先: 行名+部署名+担当者名まで書き切っているか
- 件名: 口座名義人・参照番号 (相続番号・送金Ref.No.等) を、届いた側が本人と書類を突合できる形で入れているか
- 枚数: 送付状を含めた総枚数を明記しているか
- 個人情報: 口座番号を全桁書いていないか、キャッシュカード番号や暗証番号が書類に映っていないか
- 原本の扱い: FAX後に原本を郵送するのか、原本は不要か、事前に電話で確認済みか
送信後は、電話一本で「先ほどFAXでお送りしました。届いておりますでしょうか」と受領確認をとります。銀行のコールセンターや相続センターは、受信FAXが担当者に届くまで時間差があります。締め切りや送金の当日中訂正など時間軸がある案件ほど、送信レポートだけに頼らず口頭確認を挟んでおくのが確実です。
FAX機がないときの送信方法
自宅やオフィスにFAX機がない場合、銀行へFAXを送る現実的な手段は2つあります。
1. コンビニのマルチコピー機
セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートのマルチコピー機からFAXが送れます。国内向けは1枚数十円で、24時間営業の店舗が多く、営業時間外や休日にどうしても送りたいときの選択肢になります。
書類を自宅で印刷・押印してからコンビニに持ち込み、マルチコピー機で1枚ずつ差し替えながら送信します。ただし、相続書類や海外送金の訂正依頼のように口座番号・氏名・生年月日を含む書類を店内で扱う場面が発生します。他のお客さまの視線と、機械上の原稿の置き忘れに注意してください。手順の詳細は コンビニFAXの送り方 を参考にしてください。
2. オンラインFAX (PayPerFax)
もうひとつは、自宅のパソコンやスマートフォンから直接送る方法 です。書類をPDFにしてアップロードするか、押印済みの紙をスマホで撮影してPDF化するだけで、そのまま銀行のFAX番号に送信できます。コンビニに行く必要はなく、深夜や悪天候でも家から送れます。他人の目に触れる場所を経由しないため、口座情報や個人情報の取り扱いという観点でも、コンビニより一段落ち着いて作業できます。
PayPerFaxで銀行へ送る
PayPerFaxは、契約不要・月額料金不要の従量課金制オンラインFAXです。海外送金の訂正依頼1件だけ、相続の追加資料1枚だけ、といった単発利用に向いています。
料金は、最初の$2ページが$2、追加ページは1ページあたり$0.75です。アカウント登録も、月額契約も、必要ありません。書類のPDFをアップロードし、銀行から案内されたFAX番号を入力するだけで送信できます。送信結果はブラウザに表示され、送信レポートPDFをダウンロードして手元に残せます。送信結果の見方は FAX送信確認 を参考にしてください。
よくある質問
みずほ銀行の相続手続きをFAXだけで済ませたいのですが、可能ですか?
いいえ。みずほ銀行の相続手続きは、まず取引店またはコールセンターに電話 → 相続関係届出書等が郵送または窓口で交付 → 記入・署名・実印押印済みの原本を窓口に提出、という流れです。FAX単独では本手続きは完結しません。相続センターの担当者から個別に「この照会にはFAXで回答してください」と指示された場合のみ、その回答書1枚をFAXします。
三菱UFJの相続オフィスにFAXで書類を送りたいのですが、FAX番号は公開されていますか?
三菱UFJ銀行の相続オフィスは、公開ページで一般向けにFAX番号を出していません。相続オフィスの案内電話 (0120-39-1034) に連絡すると、原則として相続届の書類が郵送で届きます。個別事情で担当者からFAX送付を求められた場合に、その通話の中で直通FAX番号が案内されます。ウェブ検索で見つけた番号を使い回さないでください。
楽天銀行はFAX番号がなさそうですが、相続はどう進めますか?
楽天銀行はネット銀行のため、コンシューマー向けの手続き経路にFAXがありません。口座名義人が亡くなった場合は、楽天銀行カスタマーセンター (0120-776-9110) に電話 → 相続手続き書類一式が郵送 → 記入・押印して郵送で返送、という郵送完結の流れです。原本の返却を希望する場合は、返送時に「原本返却希望」のメモを同封します。
ゆうちょ銀行の相続手続きの原本をFAXで送れないか担当者に聞いてもよいですか?
ゆうちょ銀行の相続手続きは、貯金事務センターとの郵送のやり取り、および貯金窓口への原本提出が前提です。「相続確認表」の提出も原則として貯金窓口 (郵送または来店) で、FAXでの提出は認められていません。相続貯金等の払い戻しに関わる書類は、貯金事務センターでの照合が必要なため、原本提出以外の方法は用意されていない、と理解しておいてください。
海外送金を出したあと、金額を間違えたのに気づきました。訂正はFAXで送れますか?
多くの銀行で、海外送金 (外国送金) の訂正・取消は、まず外為センターへ電話 → 銀行から所定の依頼書 (訂正・取消依頼書) が案内 → 記入・押印してFAXで送付 → 原本を取引店に持参または郵送、という流れになります。着金前でないと訂正が難しいため、間違いに気づいたら当日中に外為センターへ電話することが最優先です。FAX送付は電話の後の手続きになります。
差押命令が届いたと通知を受けました。銀行に対してFAXで何か送る必要がありますか?
差押命令 (民事執行) は裁判所と銀行の間で手続きが進みます。お客さま (預金者) が銀行にFAXで書類を送る必要は原則ありません。銀行の口座は差押命令の送達を受けた時点で凍結され、銀行は裁判所に「陳述書」を提出します。差押の解除や取り下げは、原則として裁判所の手続きを経て行われます。銀行のコールセンターまたは取引店に電話して、手続きの現在の状況と、預金者としての対応を確認してください。
銀行にFAX送信する書類にキャッシュカード番号や暗証番号を書いてよいですか?
いいえ。どの銀行も、FAX・メール・電話でキャッシュカード番号や暗証番号を聞き出すことはありません。書類のフォーマットにこれらの記入欄があっても、FAX送信時にはマスクしてから送るのが原則です。「銀行員を名乗る人物から、キャッシュカード番号や暗証番号をFAXで送るよう指示された」という場面は詐欺の可能性が高いため、警察または銀行のコールセンターにその場で相談してください。
まとめ
みずほ・三菱UFJ・三井住友 (SMBC)・楽天・ゆうちょの5行について、FAXが使われる場面と代わりに使われる経路を整理すると、次のようになります。
| 場面 | 主な経路 |
|---|---|
| 相続 (本手続き) | 相続センターに電話 → 郵送 → 窓口・郵送で原本提出 (FAX不可) |
| 相続 (事前照会・追加資料) | 担当者指示があった場合に限りFAX可 |
| 海外送金の訂正・取消 (法人) | 外為センターに電話 → FAXで依頼書 → 原本を取引店へ |
| 法人口座の届出変更 | 取引店窓口またはオンライン。担当者指示でFAX併用 |
| 口座名義変更・住所変更 | 来店またはオンラインバンキング (FAX不可) |
| 警察・裁判所照会への回答 | 銀行側のコンプライアンス部門から書面/FAXで回答 (顧客側の作業ではない) |
銀行宛FAXの最大の特徴は、送信先の番号を公開ページから拾わないことです。相続センター・法人サポート・外為センターに電話をかけ、その通話の中で担当者から直通FAX番号と担当者名を口頭で受け取ってから、はじめて送信します。送信後の受領確認電話とセットにすれば、大半の事故は防げます。
FAX機を用意する必要はありません。PayPerFaxなら、書類のPDFをアップロードするだけで、パソコンからでもスマートフォンからでも、銀行の担当窓口のFAX番号に送信できます。
